本学会初代会長吉良龍夫先生は、病気ご療養中のところ、2011年7月19日午前9時55分、薬石むなしく永眠されました(享年91歳)。誠に悲しみに堪えません。先生は初代会長として8年間、会長退任後は名誉会員として現在まで、長きにわたって私共をお導き下さいました。また、本学会が運営する学会賞・吉良賞は、先生のご拠金に始まります。これまでに頂いた数々のご尽力とお教えに対する感謝を先生の御霊に捧げます。また、御親族の皆様には謹んでお悔やみ申し上げますと共に、会員の皆様にこの悲報をお知らせ致します。
吉良先生の熱帯研究は1941年に今西錦司先生を隊長として行われたミクロネシアのポナペ島の探検調査に始まります。以後、タイ、カンボジア、マレーシアへとその主要調査域は広がりましたが、熱帯域における多くの調査研究においてリーダーの重責を果たされました。先生が得意とされた調査方法は生態学、特に植物の生態地理学に基づくものではありましたが、調査データの解析や成果の解釈に際しては、一貫して熱帯域の全体像の把握に努められました。本学会の誕生とその後の展開は、このような先生の熱帯研究に対する基本姿勢と無縁ではありません。
ここに会員一同を代表し、吉良龍夫先生のご逝去に哀悼の意を表します。
日本熱帯生態学会歴代会長 荻野和彦・山田 勇・山倉拓夫
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